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  • Shingo Sakamoto

Lowercarbon Capital投資先スタートアップの事業紹介

今回は、Lowercarbon Capitalという、アメリカのベンチャーキャピタルファンドについてご紹介します。Lowercarbon Capital創業者のChris Sacca氏は、Twitter・Uber・Instagram・Twillio等に投資した実績を持つ著名な方ですが、彼が現在投資しているのは、TwitterやInstagramのようなITスタートアップではなく、脱炭素に貢献するスタートアップです。


同ファンドは類似コンセプトで積極的に投資を実行しているBill Gates氏率いるBreakthrough Energy Venturesとの共同投資案件も多く、注目すべきファンドの1つだと思い、取り上げてみることにしました。

(Source: https://pixabay.com/ja/photos/%e7%99%ba%e9%9b%bb%e6%89%80-%e3%82%a8%e3%83%8d%e3%83%ab%e3%82%ae%e3%83%bc-%e9%9b%bb%e6%b0%97-%e7%92%b0%e5%a2%83-374097/)



投資先スタートアップ


Lowercarbon Capitalが出資するスタートアップが、どんな課題を、どのような技術で解決しようとしているのか、ご紹介します。現在ホームページで公開されている範囲でも50社近く並んでいるため、できる限り簡潔に説明します。


並び順は、ホームページで公開されている順番に倣い、創業年・累積資金調達額・直近ラウンド・事業概要を記載します。なお、資金調達額は基本crunchbaseを参考にしています。


Lilac Solutions

創業年:2016年

地域:アメリカ

累積調達額:1億7,400万ドル(≒190億円)

直近ラウンド:2021年9月に1億5,000万ドル(≒165億円)

事業概要:リチウムの回収方法には2種類(硫酸法とかん水法)あるが、どちらも環境負荷が高い。そこで、同社は塩水からリチウムを抽出する特殊なイオン交換ビーズを開発。塩水タンクに装填されたビーズがリチウムを選択的に吸収し、後からビーズを塩酸で洗い流すことで塩化リチウムが生成される。


Antora Energy

創業年:2017年

地域:アメリカ

累積調達額:5,200万ドル(≒57億円)

直近ラウンド:2022年2月に5,000万ドル(≒55億円)

事業概要:再生可能エネルギーで発電した電力を熱変換して熱電池に保存し、重工業分野で必要となる高温熱や電力として利用するシステムを開発している。(詳細は、こちらの記事をご参照)


Remora

創業年:2020年

地域:アメリカ

累積調達額:550万ドル(≒6億円)

直近ラウンド:2021年8月に550万ドル(≒6億円)

事業概要:アメリカで温室効果ガス排出量の約7%を占めると言われるトラック業界のCO₂排出量を削減しようとしている。特に必要なバッテリー重量が大きく電動化が難しいと言われている長距離トラックがターゲット。トラックの排気パイプに装填されたゼオライトによってCO₂を選択的に吸収した後、余剰排気熱でCO₂を取り出し、そのCO₂をそのまま温室や炭酸飲料製造メーカーに配送・販売する


Running Tide Technologies

創業年:2017年

地域:アメリカ

累積調達額:1,100万ドル(≒12億円)

直近ラウンド:非公開

事業概要:同社は昆布カーボンクレジットを販売。カキ養殖場を運営するRunning Tide Technologiesは、育てた昆布にCO₂を吸収させ海底に沈めることで、地上のCO₂を削減しようとしている


Heart Aerospace

創業年:2018年

地域:スウェーデン

累積調達額:3,700万ドル(≒41億円)

直近ラウンド:2021年6月に3,500万ドル(≒39億円)

事業概要:同社は「ES-19」という名の電動航空機を開発中。搭乗可能人数は19人、現時点での最大飛行可能距離は400km。2026年までに商業運航認可を取得することを目標としている。


Commonwealth Fusion Systems

創業年:2017年

地域:アメリカ

累積調達額:20億ドル(≒2,200億円)

直近ラウンド:2021年12月に18億万ドル(≒2,000億円)

事業概要:同社は高温超伝導磁石技術を用いて、商用核融合発電の実現を目指している。2030年代初頭に、同社にとって最初の核融合発電所を完成させる計画


Sublime Systems

創業年:2020年

地域:アメリカ

累積調達額:非公開

直近ラウンド:非公開

事業概要:同社は世界のCO₂排出量の約8%を占めると言われているセメント産業をターゲットとしている。ほとんど情報が公開されていないが、再生可能エネルギーを用いてセメント製造プロセスを電動化しようとしている


Mosa Meat

創業年:2016年

地域:オランダ

累積調達額:9,600万ドル(≒106億円)

直近ラウンド:2021年9月にエンジェルラウンド(金額非公開)

事業概要:培養肉を開発するスタートアップ。健康な牛から最適な細胞を選択し、ラボの中で栄養素・ビタミン・空気を与えて生育する


Charm Industrial

創業年:2018年

地域:アメリカ

累積調達額:非公開

直近ラウンド:非公開

事業概要:植物は光合成でCO₂を吸収するが、燃焼したり、分解されたりすることによってCO₂を放出してしまうリスクを抱えている。そこで、同社は高速熱分解によってバイオマスをバイオオイルに変換し、地下深くに注入する技術を開発。2020年に、決済大手のStripeが同社のバイオオイルを600ドルで購入し、カーボンクレジットを手に入れたと報じられた


Kula Bio

創業年:2016年

地域:アメリカ

累積調達額:7,200万ドル(≒80億円)

直近ラウンド:2022年1月に5,000万ドル(≒55億円)

事業概要:アンモニアを原料とする農業肥料は、土壌中の微生物による酵素分解を通じて、N₂O(亜酸化窒素)に変化するが、このN₂OはCO₂の約300倍の温室効果を有すると言われている。Kula Bioは「Kula-N」というバイオ肥料を開発することで、この課題を解決しようとしている。Kula-Nによって活性化した土壌中の微生物は、植物が必要な時にアンモニアを生成し、エネルギーが尽きると死亡して分解される


Cloud to Street

創業年:2015年

地域:アメリカ

累積調達額:900万ドル(≒10億円)

直近ラウンド:2021年7月に700万ドル(≒8億円)

事業概要:洪水は毎年400億ドル(≒4.4兆円)規模の損害をもたらしているが、保険によってカバーされているのはその損害額の3割にとどまっている。同社は保健会社に対して、衛星による直接観測で洪水被害をリアルタイムに把握し、精緻な保険料算出ができるソフトウェアを提供する



Zap Energy

創業年:2017年

地域:アメリカ

累積調達額:4,300万ドル(≒48億円)

直近ラウンド:2021年5月に2,700万ドル(≒30億円)

事業概要:核融合エネルギーの安定的な生成には、プラズマ(電子が自由に動けるようになった状態)制御技術が課題とされてきた。同社は、大規模な磁石を用いることなく、電流から磁場を生成してプラズマを制御する技術を開発。磁石を用いるアプローチに比べて大幅にサイズが小さく、シンプルな構造となる見込み


Crusoe Energy Systems

創業年:2018年

地域:アメリカ

累積調達額:2億4,300万ドル(≒270億円)

直近ラウンド:2021年4月に1億2,800万ドル(≒140億円)

事業概要:CH₄(メタン)は温室効果がCO₂の約25倍と言われており、CH₄を大気に放出せず利活用することは重要なテーマ。同社は、このCH₄をデータセンターや暗号資産のマイニングに電力供給するために使用している


Solugen

創業年:2016年

地域:アメリカ

累積調達額:4億3,500万ドル(≒480億円)

直近ラウンド:2021年9月に3億5,000万ドル(≒390億円)

事業概要:化学業界は世界の温室効果ガス排出量の約20%を占めていると言われており、また化学品の製造過程で危険物質が生成されることも少なくない。Solugenは機械学習による材料探索によって、石油を必要としない化学品製造プロセスを開発している。最初の製品である過酸化水素水には、廃棄食品に含まれる糖、ゲノム編集したバクテリアを活用した


Living Carbon

創業年:2021年

地域:アメリカ

累積調達額:1,500万ドル(≒16億円)

直近ラウンド:2022年2月に1,500万ドル(≒16億円)

事業概要:CO₂を削減する最もベーシックな方法の1つが、植林である。一方で、火事・伐採等、森林の減少スピードも早いため、ただ新しい木を植えるだけでは不十分であると考えたLiving Carbonは、光合成能力が強化された樹木が通常よりも早く育つ遺伝子操作技術を開発した。これにより、カーボンクレジットの収入を増やすことができるとのこと


Nitricity

創業年:2018年

地域:アメリカ

累積調達額:600万ドル(≒7億円)

直近ラウンド:2021年8月に500万ドル(≒6億円)

事業概要:ハーバー・ボッシュ法による窒素化学肥料は生産・輸送時の環境負荷が高いため、Nitricityはオンサイトかつオンデマンドで肥料製造を行おうとしている。コンパクトな分散型肥料製造システムは太陽光エネルギーで稼働し、農場の灌漑システムに直接統合される


Higher Steaks

創業年:2017年

地域:イギリス

累積調達額:非公開

直近ラウンド:非公開

事業概要:世界で牛肉・鶏肉の人工肉開発を進めるスタートアップが多い中、同社は世界で最も消費量の多い「豚肉」を人工的につくろうとしている。豚から細胞の小さなサンプルを採取し、バイオリアクターの溶液中で生育している。


Formo

創業年:2018年

地域:ドイツ

累積調達額:1億400万ドル(≒114億円)

直近ラウンド:2021年9月に5,000万ドル(≒55億円)

事業概要:同社は、動物由来ではない乳製品を開発している。その中でも主なターゲット製品はチーズ。微生物に乳タンパク質のホエイとカゼインプロテインの遺伝子コードを与え、十分なタンパク質に成長したら他の成分と組み合わせてチーズを製造する。


CODA Farm Technologies

創業年:2020年

地域:アメリカ

累積調達額:200万ドル(≒2億円)

直近ラウンド:2021年6月に200万ドル(≒2億円)

事業概要:水利用のうち、半分以上を占めているのが農業利用で、中でも灌漑に用いられる水量は多い。一方で、灌漑において貯水池から引いた水量のうち作物によって効果的に利用される水量の比率は、50%程度にとどまることもある。そこで、同社は灌漑設備に後付け可能なIoTユニットと管理アプリを提供。作物の生育状況を監視しながら、灌漑設備が効率的に稼働するよう自動制御する。


Pachama

創業年:2018年

地域:アメリカ

累積調達額:2,400万ドル(≒26億円)

直近ラウンド:2021年4月に1,500万ドル(≒17億円)

事業概要:CO₂排出量を削減すべく森林の保全・拡大が進む中、カーボンクレジットの妥当性を保証する存在が重要に。同社は、衛星画像と機械学習を組み合わせ、土地所有者が多額の投資を行う必要なく、標準化されたカーボンクレジット保証を行うことができるソリューションを提供する。


Heirloom

創業年:2020年

地域:アメリカ

累積調達額:5,300万ドル(≒58億円)

直近ラウンド:2022年3月に5,300万ドル(≒58億円)

事業概要:CO₂はある種の岩盤に接触すると化学反応によって鉱化する。通常このプロセスは数年単位の期間が必要となるが、同社はこれを数週間に短縮しようとしている。電気キルンを用いて炭酸塩からCO₂を抽出し、残りの炭酸塩が空気からCO2を吸収する、というサイクルを繰り返す



Loam Bio

創業年:2019年

地域:オーストラリア

累積調達額:5,000万オーストラリアドル(≒46億円)

直近ラウンド:2021年10月に4,000万オーストラリアドル(≒37億円)

事業概要:土壌の中には微生物がおり、土壌有機炭素を分解してCO₂を排出している。これを閉じ込めておくことができれば大気中のCO₂削減につながる。同社は、農家向けに作物種子をコーティングする菌を開発・提供することで、この課題に取り組んでいる。菌でコーティングされた種子は力強く育ち、また生育過程で土壌中に炭素を閉じ込めることができるとのこと


Compound Foods

創業年:2020年

地域:アメリカ

累積調達額:450万ドル(≒5億円)

直近ラウンド:2021年9月に450万ドル(≒5億円)

事業概要:気候変動による気温上昇と干ばつ増加が進むと、コーヒー生産地が減少し、コーヒーが飲めなくなるかもしれない。同社は、コーヒー豆を使わないで「コーヒー」を飲める技術を開発している。コーヒーに特徴的な香り・風味・効果を与える化合物を特定し、再現している


AirLoom

創業年:2019年

地域:アメリカ

累積調達額:非公開

直近ラウンド:非公開

事業概要:同社はほとんど情報開示をしていないが、Lowercarbon Capitalによれば、マイクロ風力発電システムを開発している。システム重量は、同じ量の電力を生成する従来のタービンのわずか4%で、1MWhあたりの電力単価は従来の風力発電単価の1/3程度とのこと


Verdox

創業年:2019年

地域:アメリカ

累積調達額:1億ドル(≒110億円)

直近ラウンド:2022年2月に1億ドル(≒110億円)

事業概要:CO₂回収システムの多くは、CO₂を回収した後、熱を加えてCO₂を取り出す仕組みになっている。ここで、熱が大量に必要になることが課題だった。同社は、熱の代わりに電圧を加えることでCO₂を放出するシステムを開発している。具体的には、電池セルシステム内にCO₂を含む混合ガスを吸引した後、電圧を加えることで電極が選択的にCO₂を吸着。その後、また別の電極に印加するとCO₂が放出される仕組み。


Boundary Layer

創業年:2018年

地域:アメリカ

累積調達額:230万ドル(≒3億円)

直近ラウンド:2020年10月(金額非公開)

事業概要:既存の航空輸送・海上輸送によるCO₂排出量を削減すべく、水素で動くコンテナ船を開発している。部材には炭素複合材料を用いて軽量化を図り、従来の貨物船の3倍の速さで進むとのこと


Entocycle

創業年:2014年

地域:イギリス

累積調達額:1,100万ドル(≒12億円)

直近ラウンド:2020年9月に650万ドル(≒7億円)

事業概要:世界では耕作地の多くが、家畜の飼料を育てるために使われている。特に大豆の70%は家畜が消費している。同社は、昆虫を家畜に食べさせることで、タンパク質の確保を図る。具体的には、ハエの卵を食品廃棄物の容器内で孵化させ、廃棄物を摂取させる。成熟したハエは粉末化し、家畜の飼料となる


Linear Labs

創業年:2014年

地域:アメリカ

累積調達額:9,900万ドル(≒109億円)

直近ラウンド:2022年3月に1,700万ドル(≒19億円)

事業概要:世界中で電動化が進む中、安価で効率的なモーターをつくる必要性が高まっている。同社は、従来のように希土類金属を用いないモーターを開発。ギアボックス(歯車を組み合わせて速度やトルクを変換させる歯車装置)なしで高トルクを生成することができる永久磁石構造とのこと


Macro Oceans

創業年:2020年

地域:アメリカ

累積調達額:非公開

直近ラウンド:非公開

事業概要:同社は、太陽光と海水だけで成長する「昆布」に注目し、独自のゼロウェイストシステムを用いることで、昆布から生体高分子・医薬品・糖・タンパク質等を抽出。劇的に簡素化された処理システムは、既存のバイオプロセッシング手法の1/7のコストとのこと


Arc Boats

創業年:2020年

地域:アメリカ

累積調達額:3,000万ドル(≒33億円)

直近ラウンド:2021年11月に3,000万ドル(≒33億円)

事業概要:同社は電動ボートを開発している。(船舶の電動化についてはこちらのブログをご参照)ゆくゆくは貨物船の電動化を見据え、まずは非貨物船の電動化から始めている


Normative

創業年:2014年

地域:スウェーデン

累積調達額:1,400万ドル(≒15億円)

直近ラウンド:2021年9月に1,000万ドル(≒11億円)

事業概要:カーボンアカウンティングプラットフォームを開発している。(カーボンアカウンティングについてはこちらのブログをご参照)ERPシステムや外部データベースと接続されたプラットフォーム上で、顧客はScope1〜Scope3まで自動的にCO₂排出量を算出できる。


Carbon Engineering

創業年:2009年

地域:カナダ

累積調達額:1億1,000万ドル(≒120億円)

直近ラウンド:2019年7月に2,500万ドル(≒11億円)*助成金

事業概要:CO₂回収システムを開発している。大型ファンによって空気を分離膜に通過させ、溶液と化学反応させる。炭酸塩溶液中に閉じ込められたCO₂は、燃焼装置で加熱されてCO₂ガスとして取り出される。ポイントは、必要となる機器は既存のもので、これらを組み合わせることでシステム化したという点で、大規模なスケールアップも可能とのこと


Dendra

創業年:2014年

地域:イギリス

累積調達額:1,600万ドル(≒18億円)

直近ラウンド:2020年5月に960万ユーロ(≒13億円)

事業概要:世界では、年間150億本の木が伐採されており、温暖化を防ぐために植林スピードを上げる必要性があると言われている。同社は自動播種ドローンを開発し、植付け時間の短縮を図る。また、このドローンは森林の生育状況を監視する機能も備えている。ドローンで収集したデータは、独自のソフトウェアプラットフォームにつながり、播種のみならずメンテナンス状況等も一括管理することができる


CarbonChain

創業年:2019年

地域:イギリス

累積調達額:200万ドル(≒2億円)

直近ラウンド:2021年12月に200万ドル(≒2億円)

事業概要:カーボンアカウンティングが世界的に注目されているが、特にサプライチェーンが複雑な業界のScope3排出量管理は難しいと言われている。サプライチェーン上の企業が遅滞なく排出量を報告するよう、同社は独自の排出量原単位データベースと機械学習を組み合わせて排出量見積もりを作成し、企業報告の手間を削減している。


Holy Grail

創業年:2019年

地域:アメリカ

累積調達額:300万ドル(≒3億円)

直近ラウンド:2021年6月に300万ドル(≒3億円)

事業概要:CO₂回収システムを開発している。同社の採用しているシステムは、解説を読む限りVerdoxに類似しており、吸引した空気に含まれるCO₂をバッテリーセル内で分離し、回収する


Kettle

創業年:2019年

地域:アメリカ

累積調達額:3,000万ドル(≒33億円)

直近ラウンド:2021年11月に2,500万ドル(≒28億円)

事業概要:気候変動が進むと、過去のデータを逸脱したレベルでの災害が起こり得る。それによって保険会社は大きな損害を被る可能性がある。同社は再保険(生命保険会社が引き受けた保険のうち、主に高額契約分について、リスク分散のために再保険引受会社と結ぶ保険契約) 会社を対象に、ディープラーニングを用いて火災発生リスク・損害額から再保険価格をダイナミックに調整するソリューションを提供。再保険会社は、衛星データ・気象状況から、その時に最適な再保険価格を知ることができる


TrueCircle

創業年:2021年

地域:イギリス

累積調達額:550万ドル(≒6億円)

直近ラウンド:2022年3月に550万ドル(≒6億円)

事業概要:近年、プラスチックの再利用率を高める動きが進んでいる。例えば、EUでは2022年以降、プラスチック包装の再生材料含有率を30%以上とする規制が成立しそうである。ここで課題となるのが、リサイクル施設に入ってくる使用済みプラスチックの品質。同社は、リサイクル施設にコンピュータービジョンによる品質判定AIを導入し、課題解決を試みる。品質をデータとして可視化し、「廃棄物の中から高品質なプラスチックを収集し、適正な価格で購入してもらう」という良い循環をつくろうとしている


Enode

創業年:2020年

地域:ノルウェー

累積調達額:非公開

直近ラウンド:2021年4月(金額非公開)

事業概要:電力の需要が増えていく中、電力網全体の需要を平坦化することの重要性が高まっている。考えられる解決策として、例えば、EV充電・エアコン利用を電力網全体の需要が低い時間帯にシフトすること等が挙げられる。一方、オンラインにつながったEVやエアコン等を制御するうえで、メーカー・モデル・ブランドによって仕様が異なり、個別の制御システム毎に対応したソフトウェアが必要となる点が課題だった。そこで、同社はオンラインに接続されたあらゆるハードウェアと仮想電力網をつなぐAPIを開発している。最終消費者は、利用するハードウェアを全て1つのアプリ上で管理することができ、電力事業者は需要の波を把握してデマンドレスポンス(電力の需給をバランスさせるために、供給側が需要側の電力を制御すること)を実施することができる。


Noya

創業年:2020年

地域:アメリカ

累積調達額:120万ドル(≒1億円)

直近ラウンド:2021年2月に120万ドル(≒1億円)

事業概要:同社は、CO₂回収のために既存の冷却塔(ビル空調や地域冷暖房設備である冷凍機の冷角水を冷却するために用いられている塔)を利用する。冷却塔の動作に影響を与えないように、冷却塔の横にダクト、下側にCO₂回収・処理装置を設置する。わざわざCO₂回収のためだけにファンを動かして空気を吸引するのではなく、元々空気を吸引する用途に相乗りしようというアイディア。


Pledge

創業年:2021年

地域:イギリス

累積調達額:450万ドル(≒5億円)

直近ラウンド:2021年10月に450万ドル(≒5億円)

事業概要:CO₂排出量の測定とカーボンオフセットマーケットプレイスが一体化したプラットフォームを展開。効果が検証されたCO₂削減プロジェクトだけを掲載しているのが特徴とのこと。


Frost Methane Labs

創業年:2019年

地域:アメリカ

累積調達額:非公開

直近ラウンド:非公開

事業概要:メタンの大きな発生源は、採炭場やガス田。メタンはCO₂に変換することで、温室効果を数十分の1に抑えられるため、同社はこうした資源採掘場に対して、メタンを水とCO₂に変換する自動フレア装置を提供。さらに、これによって生まれるメタンオフセットクレジットを販売している。


Twelve

創業年:2015年

地域:アメリカ

累積調達額:6,900万ドル(≒76億円)

直近ラウンド:2021年7月に5,700万ドル(≒63億円)

事業概要:CO₂の発生源に、ボルトで固定して水と再生可能エネルギー由来の電力のみを加えてCO(一酸化炭素)を生成することができるデバイスを提供。同社は自らを「fossil-free chemical company」と表現し、COに限らずさまざまな化学製品を生み出そうとしている。技術的強みは、膜電極接合体(固体高分子膜から構成され、両面に電極を持つ。)にあるとのこと


Flair

創業年:2014年

地域:アメリカ

累積調達額:400万ドル(≒4億円)

直近ラウンド:2021年4月に200万ドル(≒2億円)

事業概要:世界的にHVAC(Heating Ventilation and Air Conditioning)の需要は高まっている。(HVACについては、こちらの記事をご参照)同社は、独自の制御システムを組み込んだ省エネHVACシステムを開発・提供し、電力消費量を削減しようとしている


Mootral

創業年:2018年

地域:スイス

累積調達額:1,400万ドル(≒15億円)

直近ラウンド:2021年7月に170万ユーロ(≒2億円)

事業概要:牛のゲップに含まれるメタンは、全世界で温室効果ガスの約4%を占めると言われている。同社は、ニンニクと柑橘類の抽出物をベースとした天然飼料を製造しているが、これによって乳牛の乳量を3〜5%向上させながら、メタン排出量を30〜38%削減できるとのこと


Yard Stick

創業年:2020年

地域:アメリカ

累積調達額:720万ドル(≒8億円)

直近ラウンド:2021年9月に500万ドル(≒6億円)

事業概要:土壌には、空気に比べて最大で3倍のCO₂吸収能力がある。土壌改善ソリューションに対する投資を増やすためには、土壌の炭素レベルを正確かつ瞬時に測定できる装置が必要と考えた同社は、土壌炭素レベルをその場で把握できるスマートプローブを開発した。


Cervest

創業年:2016年

地域:イギリス

累積調達額:2,700万ユーロ(≒37億円)

直近ラウンド:2021年5月に1,600万ドル(≒22億円)

事業概要:企業が気候変動による事業リスクを把握するニーズは高まっているが、依然としてデータが断片化されている。同社は、建物から森林までさまざまな資産に対するリスクを自動的に定量化するプラットフォームを提供する。



今回はこれで以上になります。


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