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Writer's pictureShingo Sakamoto

「21世紀を支えるアンモニアとスタートアップの動き」

Updated: Aug 25, 2023

今回はアンモニアを取り上げてみます。アンモニアは、その優れた物性を活かし、持続可能な社会に重要な役割を果たす物質として注目を集めています。今回は、アンモニアに期待される用途、技術的に抱えている課題、そして、それらの課題を解決しようとするスタートアップの動きに言及しながら、国内外でアンモニアに注目が集まる理由を紐解いていきます。


なお、為替レートは2023年8月23日時点のものをベースに計算しています。

(Source: https://pixabay.com/ja/photos/日没-自然-風景-エネルギー-4533647/)


アンモニアの概要


アンモニアは、窒素と水素を化学反応させることによって得られる化合物で、化学式ではNH₃と表されます。2012年のデータになりますが、こちらのサイトによれば、アンモニアの用途は約8割が農業用途で肥料として、残りが工業用途で樹脂・繊維の原料等として利用されています。

(Source: https://www.mol-service.com/ja/blog/ammonia)



アンモニアは無色透明な気体で、強い刺激臭を放つ点が特徴です。液体として存在するときは沸点が39.7℃と低温で、この特徴はアンモニアの冷媒利用に活かされています。また、アンモニアは有害な物質でもあります。高濃度のアンモニアは、人間の呼吸器・目等に刺激を与え、健康被害を引き起こす可能性があります。


現在主流とされているアンモニア製造プロセスは、「ハーバー・ボッシュ法」と呼ばれています(ハーバー・ボッシュ法については、「アンモニアが抱える課題」という章で、詳細をご説明します)。ハーバー・ボッシュ法においては、高温・高圧環境で水素と窒素を反応させますが、水素製造に使われる原料は天然ガス・石油等の化石燃料であり、今後脱炭素化を進めていくうえで、よりクリーンなプロセスに転換していくことが求められています。


これに関連して、アンモニアは「色」で表現されることがあります。例えば、グレー・ブルー・グリーン等が挙げられます。「グレー」アンモニアは、化石燃料を用いた従来プロセスでつくられたアンモニア。「ブルー」アンモニアは、グレーアンモニアに似ていますが、プロセス中に発生する二酸化炭素を待機中に放出せず回収してつくられた場合のアンモニアを指します。「グリーン」アンモニアは、原料となる水素を再生可能エネルギー由来の電力で精製してつくられた場合のアンモニアです。



アンモニアが世界的に注目されている理由


アンモニアに注目が集まっている理由として、大きく3つの用途における需要拡大が関係しています。燃料、農業肥料、水素キャリアです。以下、それぞれ具体的に見ていきます。


燃料用途

まず、アンモニアは、火力発電・工業炉・船舶の燃料として期待されています。アンモニアは燃焼時に温室効果ガスを排出しないためです。なお、燃焼時の化学反応式は4NH₃ + 3O₂ → 2N₂ + 6H₂Oで、燃焼後は窒素と水が生成されることになります。


また、アンモニアは常圧下で -33℃または常温で8.5気圧で液化するため、いくら圧力をかけても常温では液化せず、液化させるには-253℃という極低温が必要な水素に比べて、圧倒的に液化させやすく、液体として貯蔵・輸送することが容易です。


燃料としてのアンモニア利用を、世界の中で最も積極的に進めていると言われているのが日本です。政府は、2020年3月に「新国際資源戦略」の中で燃料アンモニアの可能性を高く評価し、以来、補助金等を通じて各企業の支援を行っています。


【発電】


しかし、こうした動きには、「火力発電設備の延命を助長することになる」という批判の声も挙がっています。2022年には、国内外のNGO団体が中心となって、発電分野で燃料アンモニアを積極活用することに対して批判的な共同声明を発表しました


【工業炉】

工業炉燃料としてのアンモニア活用にも動きが見られます。例えば、AGCはガラス製造プロセスで必要となる燃料にアンモニアを用いる実証実験を進めています。ガラスを含む窯・土石産業の二酸化炭素排出量は2,810万トンと国内産業で4番目に多く、日本板硝子は水素・バイオ燃料の活用、セントラル硝子は二酸化炭素回収等、各企業が脱炭素の動きを進めています


【船舶】

もう1つ大きな燃料の用途があります。それが船舶燃料です。日本郵船・川崎汽船・商船三井等の海運各社は、アンモニア燃料商船の実用化に向けて日本海自協会から船舶の基本設計承認を取得する等、準備を進めています。


ただし、アンモニアを船舶燃料として利用するうえで、いくつか課題があると言われています。まず、アンモニアはLNGに比べて密度が低いため、同等のエネルギー量を確保するためにタンクを巨大化する必要があり、その分貨物の積載スペース・積載可能重量に影響が出ます。また、毒性のあるアンモニアが海洋に漏洩した場合、海洋生物に影響があります。さらに、アンモニアは腐食性も高いため、燃料タンクを強化する必要があります。


発電・工業炉・船舶、いずれの用途でも、アンモニアを燃料として利用する場合、環境汚染物質であるNOx(窒素酸化物)対策が必要です。NOxは、こちらの記事によると、石炭にアンモニアを20%混焼した場合、石炭専焼に比べて排出されるNOxの濃度が約2倍になったと報告されています。こうした課題を解決するため、NOx低減技術の研究が進められています。例えばこちらの記事ではIHIによるNOxを抑制した状態でのアンモニア専焼実験、こちらの記事ではAGCが太陽日酸と共同開発を進めるNOx抑制対策を施した燃焼バーナーの事例が紹介されています。


農業肥料用途

窒素は植物の成長に必要不可欠な栄養素であり、アンモニアは農業肥料に必要な窒素の供給源となります。国際連合広報センターから、世界人口が2022年末で80億人に達し、2030年には約85億人、2050年には約97億人まで増加が見込まれると発表されましたが、世界人口の増加や、食糧需要の拡大に伴い、今後アンモニアの需要は拡大することが予想されます。


また、2022年から始まったロシアのウクライナ侵攻も食糧問題には関連しています。侵攻前、ウクライナは世界の小麦輸出量の約1割を占めていましたが、2023年春は2022年春に比べると、収穫量が3〜5割にとどまると見通しが発表され、小麦価格は高止まりが継続する可能性があります。また、ロシアは天然ガスの主要輸出国であり、今回の侵攻は、天然ガス価格の上昇→アンモニア価格の上昇→肥料価格の上昇、という形で世界の食糧生産に影響を与えています。各国では以前に増して食糧自給率を高めることが経済安全保障上の重要課題となっていきそうです。


今後さらなる需要が見込まれる窒素肥料に不可欠なアンモニアですが、同時にアンモニア製造の脱炭素化にも対応を迫られるいま、ハーバー・ボッシュ法よりもエネルギー効率の良い方法が模索されています。


水素キャリア用途

アンモニアは世界的に需要の拡大が見込まれる「水素」を含む化合物であり、水素を製造・貯蔵・輸送するための手段として利用されることが期待されています。


2019年に経済産業省から発表された資料によれば、世界の水素需要量は2020年の1億トン弱から、2030年には2億トン、2050年には5億トン超まで増加していくと言われています。2030年以降の水素需要を支える用途として特徴的なのは、輸送(商用車、船舶等)と発電です。

(Source: https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/suiso_seisaku/pdf/007_02_00.pdf)



日本は現在年間約200万トンの水素製造量を2030年には300万トン、2050年には2,000万トンまで拡大する計画を立てていますが、それを達成するための施策の1つとして、海外から水素を輸入するという手段が考えられます。欧州・中東のような大陸地域では、水素ガスをパイプラインで輸送することができますが、島国である日本に海外からパイプラインを拡張するのは難しく、船で輸送することになります。


その際、水素を安全かつ効率的に輸送するキャリアとして期待されるのがアンモニアです。アンモニアが水素キャリアとして優れている理由には、(1)アンモニアは分子内に3つの水素原子を持ち水素密度が高いこと、(2)アンモニアは水素に比べると液体状態を維持しやすいこと、(3)アンモニアはすでに製造・輸送・貯蔵のサプライチェーンが整備されており、新たに必要なインフラ投資規模が小さいこと、等が関係しています。



アンモニアが抱える課題


アンモニア需要は今後拡大していくことが予想される一方、現在主流の製造プロセスであるハーバー・ボッシュ法は、コストや環境負荷の観点で課題を抱えています。


ハーバー・ボッシュ法は、窒素と水素を高温高圧環境で反応させることによってアンモニアを生成する方法です。1909年にドイツの科学者であるフリッツ・ハーバーとカール・ボッシュによって開発され、その後世界中でアンモニアの大量生産に利用されるようになりました。


触媒を配置した反応噐の温度・圧力を400〜600℃、200〜400気圧まで高め、アンモニアを合成します。用いられる触媒にはいくつかの種類がありますが、最もメジャーなのは鉄アルミナ系の触媒で、その他にはプラチナ・ルテニウム系等があります。一般的に、出口側のアンモニア濃度は10〜20%程度と言われています。

(Source: https://www.try-it.jp/chapters-9578/sections-9579/lessons-9626/point-2/)



改めて、こちらの資料を参考に、ハーバー・ボッシュ法によるアンモニア製造プロセスを、エネルギーと二酸化炭素排出という観点から整理してみます。


水素・窒素の製造

水素の製造には、(1)部分酸化法と(2)水蒸気改質法、大きく2種類の方法があります。


(1)部分酸化法の場合、重油・石炭・コークス・廃プラスチック等を、純酸素・水蒸気と共にガス化反応器に吹き込み、水素・一酸化炭素の合成ガスを得ます。この場合、(a)純酸素とともに空気を供給してアンモニアに必要な窒素:水素の合成比を調整する方法と、(b)窒素は空気分離装置を用いて製造し、アンモニア合成の直前に供給する方法があるようです。


(2)水蒸気改質法の場合、天然ガス中の炭化水素を高温で水蒸気と反応させ、水素・一酸化炭素の合成ガスを得ます。一酸化炭素は、再び水蒸気と反応させて水素と二酸化炭素に転化させます。この場合、窒素は先ほどの(a)のパターンで供給される場合が多いようです。


いずれのプロセスにおいても水蒸気は欠かせず、その水蒸気を製造する際に大きなエネルギーを必要となります。また、一酸化炭素から水素を抽出する際に、二酸化炭素を排出する点も共通しています。


アンモニアの合成

得られた水素・窒素の混合ガスを圧縮機で昇圧し、高温の炉内で反応させます。窒素分子の強固な三重結合を切断して水素と結合させるために、触媒と高温・高圧環境が必要となりますが、この環境をつくる際に、大きなエネルギーを必要とします。ちなみに、少し余談となりますが、自然界で窒素の三重結合を切断できるのは、「ニトロゲナーゼ」という酵素を持つ一部の細菌のみと言われています


ちなみに、上記ご説明した通り、アンモニア合成環境は「高温・高圧」である必要がありますが、アンモニア反応系の平衡状態における理想は「低温・高圧」であるようです。つまり、平衡状態では温度が低ければ低いほど、圧力が高ければ高いほど、アンモニア濃度は高くなります。アンモニアの反応はN₂(窒素) + 3H₂(水素) ⇄ 2NH₃(アンモニア)ですが、左式で言う→は発熱反応、←は吸熱反応になります。反応器の温度を上げると、ルシャトリエの原理(平衡状態にある反応系に外部から何かしらの影響が加わると、反応系で逆方向の反応が進んで平衡状態が変化すること)が働き、←の吸熱反応が起こり、アンモニアの量が減少します。つまり、温度を低くした方がアンモニアをたくさん作れることになります。


また、N₂ + 3H₂ ⇄ 2NH₃の左側の総分子数は4、右側の総分子数は2ですが、反応系の圧力を上げると分子数が減少する方向に平衡が移動するため、→の反応が進みます。つまり、圧力を上げた方がアンモニアをたくさん作れるということになります。では、なぜハーバー・ボッシュ法で高温・高圧環境がスタンダードになっているかと言うと、低温よりも高温の方が反応速度が早く、平衡状態に達するまでの時間を短くすることができるためです。平衡状態では温度が低い方が良い一方、平衡状態に達するまでの時間を考慮すると温度が高い方が良い、ということになります。


こういった課題を解決するため、再生可能エネルギーの利用や、次世代アンモニア製造技術の開発が進められています。例えば、水素を再生可能エネルギーから製造することで、温室効果ガスの排出を削減することが可能です(グリーンアンモニア)。また、新たな触媒の開発によって、高温・高圧設備を必要としないアンモニア製造プロセスの実現を目指す動きもあります。



スタートアップが牽引するアンモニアの課題解決


スタートアップが取り組むテーマとして注目されているのが新触媒の開発です。触媒性能の向上によってアンモニア合成に必要な温度・圧力が下がり、それに応じて設備の小規模化を進められることが期待されています。設備の小規模化が進むと、大規模プラントに原料を輸送し、大規模プラントからアンモニアを輸送するという輸送の無駄が減り、水素の発生場所でアンモニアを地産地消できるようになるかもしれません。


スタートアップがアンモニア分野の革新に貢献し得るのは、もちろん新触媒開発だけではありません。例えば、新たなアンモニア製造プロセスとして、光触媒反応・微生物反応等が挙げられます。また、アンモニアを原料とした高機能素材の開発や、アンモニアを原料としたポリマーの開発等も、さまざまな分野での応用が期待されています。


それでは、以下、いくつかの小テーマに分類しながら、アンモニア関連のスタートアップをご紹介します。アンモニアはどうしても水素と切っても切り離せず、一部のスタートアップはアンモニアは扱わず、水素をテーマとした技術を強みにしていますが、その点はご容赦ください。


メタン熱分解

  • 創 業:2010年

  • 地 域:オーストラリア

  • 資 金:2015年にオーストラリア証券取引所上場(2023年8月23日時点で時価総額9,500万豪ドル(≒90億円))

  • 事 業:メタンから水素と炭素を生成するメタン熱分解を研究開発。


この技術は、Western Australia Universityで研究されていたもので、同社はその商業化を目的として創業された。こちらのサイトによると、触媒には鉄鉱石が利用されており、そのあたりに技術コアがある様子。現時点で、同社はアンモニア製造までは手がけていないが、こちらのインタビューでは、今後クリーンな水を使用してアンモニアの製造まで手掛ける可能性があると示唆している。



  • 創 業:2012年

  • 地 域:アメリカ

  • 資 金:累計3億6,500万ドル(≒530億円)調達

  • 事 業:天然ガス・バイオガスをメタン熱分解することによって炭素と水素を製造し、炭素からカーボンブラック、水素からアンモニアを製造する。メタン熱分解には、再生可能エネルギー由来の電力が利用され、このクリーンなプロセスは「Monolith Process」と呼ばれている。Hazer Groupに類似する技術。


  • 創 業:2020年

  • 地 域:アメリカ

  • 資 金:累計4,500万ドル(≒65億円)

  • 事 業:(こちらの会社は、現時点ではアンモニア製造までは手がけていないようですが、メタン熱分解という文脈では有力な企業の1つとされているため、ご紹介します。)同社は、メタンを高温で分解し、水素と固形炭素をつくる。2022年6月に約45億円を調達し、パイロットプラントの建設を開始。日本企業としては、三菱重工業が株主に加わっている。


農業肥料
  • 創 業:2010年

  • 地 域:アメリカ

  • 資 金:累計2,400万ドル(≒35億円)調達

  • 事 業:光合成速度が向上するように操作された遺伝子組み換え種子「PhotoSeed」を開発・生産する(アンモニアは直接的に関係しないが、化学肥料を削減するアプローチの1つとしてご紹介します)。対象作物として、まず大豆からスタートし、いまでは米・ヘンプ等に拡大している。


  • 創 業:2011年

  • 地 域:アメリカ

  • 資 金:累計6億1,700万ドル(≒900億円)調達

  • 事 業:土壌中でオンデマンドに窒素を生成できる微生物を農家に提供する。窒素生成機能を持つ遺伝子を備えた微生物を特定し、その機能を増幅させるよう改変。改変された微生物は作物の栄養ニーズに応じて窒素を生成。土壌の種類・農法・気象に応じて、最適な遺伝子を設計して提供する。 既存の合成窒素肥料が土壌で未使用のまま放置されると、温室効果ガスである亜酸化窒素として大気中に放出されたり、硝酸塩として水路に流出したり、環境に悪影響を及ぼす点が課題しされており、微生物であれば作物のリクエストに応える形で必要な量の窒素を土中で生成できる点が優れているとのこと。


  • 創 業:2018年

  • 地 域:アメリカ

  • 資 金:累計2,700万ドル(≒40億円)調達

  • 事 業:太陽光発電電力・空気・水を用いて、農地のそばで窒素肥料を製造するプラントを開発。前述の通り、既存のアンモニアサプライチェーンは、生産地が大規模プラントのある地域に集中し、エンドユーザーである農家の手元に肥料が届くまでの輸送コストが大きい点が課題。同社は、太陽光を用いてアンモニアを地産地消するシステムを構築中。


  • 創 業:2018年

  • 地 域:アメリカ

  • 資 金:累計7,200万ドル(≒105億円)調達

  • 事 業:Kula Bioは遺伝子組み換えしていない微生物に炭素養分を与えた「Kula-N」というバイオ肥料を開発。Kula-Nは、作物が必要とした時に窒素養分を提供するよう働く。働きを終えると、土壌で分解され、炭素として土に還元される。



  • 創 業:2021年

  • 地 域:日本

  • 資 金:累計2億8,000万円調達

  • 事 業:紅色光合成細菌を用いて農業肥料・水産養殖用飼料・バイオポリマー等を製造するスタートアップ。紅色光合成細菌は大気中の二酸化炭素と窒素を直接固定し増殖できる性質を持つ。2022年6月の発表によると、同細菌を用いて生成した肥料の成分を解析したところ、植物の生育に必要とされる10%以上の窒素を含んでいることがわかった。


アンモニア電池・NOx関連

Amminex Emissions Technology




ちなみに、これはまだ研究段階ですが、日本の産業技術総合研究所(産総研)は2023年に、燃焼排ガス中のNOxからアンモニアを生成する手法を開発したと発表。多孔質アルミナ触媒を用いて、200〜300℃の温度域において吸蔵したNOxの80%をアンモニアに変換できることを実証しました。

(Source: https://www.newssalt.com/35979)


新触媒関連
  • 創 業:2007年

  • 地 域:アメリカ

  • 資 金:累計1,000万ドル(≒15億円)調達

  • 事 業:低温・低圧でアンモニア生成が可能となる新触媒を用いた分散型グリーンアンモニア製造モジュール「Rapid Ramp NH₃」を開発。このモジュールに、再生可能エネルギー由来の電力・空気・水を投入するとアンモニアが製造される。2021年には、三菱重工、大阪ガス等が出資。






Ammon Fields(IDATEN Ventures 出資先)

  • 創 業:2022年

  • 地 域:日本

  • 資 金:累計約3,000万円調達

  • 事 業:東京工業大学の原教授によって発明・発見された革新的なアンモニア合成触媒「鉄-ヒドリド触媒」を用いた脱炭素ソリューションの開発・推進を行う。



また、同じく2022年末には、東京工業大学の研究グループが、グリーンアンモニア合成に求められる高い耐水性を有する貴金属フリーの新触媒が実現したと発表。より低温・低圧環境でのアンモニア合成が模索される中、これまでは触媒としてルテニウムを用いることが一般的でしたが、ルテニウムが希少金属である点が課題視され、より汎用性の高い金属を用いる試みが続けられていました。今回、同研究グループはLa3AlNにニッケルまたはコバルトを担持した触媒を用いると、酸素や湿気に暴露しても触媒活性が劣化しないことを発見しました。


アンモニアをめぐる国内外の動きは引き続き活発で、これからも続々と新たなスタートアップや技術が登場していくと思いますので、これからも注視していきます。(なお、IDATEN Ventures 出資先のAmmon Fieldsは、まだそれほど詳細情報を公開していないため上記リストに含めませんでしたが、低温低圧環境下で効率的なアンモニア生成に必要な新触媒、および小型アンモニアプラントの開発を行うスタートアップです。)


IDATEN Ventures(イダテンベンチャーズ)について

フィジカル世界とデジタル世界の融合が進む昨今、フィジカル世界を実現させている「ものづくり」あるいは「ものはこび」の進化・変革・サステナビリティを支える技術やサービスに特化したスタートアップ投資を展開しているVCファンドです。


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