世の中には「怖いもの」がいろいろあるが、「コンフォートゾーン」もそうした怖いものの一つではないだろうか。
コンフォート(Comfort)とは、快適、心地よい、といった意味をもつ。そこにゾーンがついた「コンフォートゾーン」とは、無理をしなくてもいい快適で心地よい領域、という意味になる。
コンフォートゾーン自体は決して悪いものではなく、むしろポジティブなものだと思うが、状況によっては、このコンフォートゾーンが最大の厄介者となる。
コンフォートゾーンにはまってしまうと、成長が止まる。なぜなら、成長とは安定を崩すことが出発点であり、安定を崩すことはコンフォートゾーンを壊すことになるからだ。
せっかく手に入れたコンフォートゾーンを壊したくないという気持ちが無意識に働いてしまうと、挑戦しなくなり、現状維持のための言い訳が増え、守りに入る。
「いや、それをやっても結果は同じだよ」
「でも、それをやるのは無理だね」
「まだ、それをやるには早いよ」
「〇〇さん/取引先/業界の動きが遅いから、私が何をやってみ意味がない」
こうした「いや」「でも」「まだ」あるいは「他責」を並べて、自分は新しいことに挑戦しない。
イノベーションのジレンマという言葉があるが、まさにそれは、企業(あるいは意思決定者)がコンフォートゾーンにはまり、そこから抜け出す努力をしなかったことに起因していると思う。
個人単位では、過去の成功体験に縛られる、という言葉があるが、それも同じだろう。
コンフォートゾーンにはまると、現状維持バイアスが強くなり、何か大きなきっかけがないと、そこから抜け出せない。抜け出せなくなるだけならいいが、周囲はどんどん変化している環境下では、相対的にどんどん衰退・劣化することにつながる。
でも、コンフォートゾーンは心地よいので、自分が衰退・劣化していることに気づかない。気づいたときには、もう手遅れ、という具合だ。
だからコンフォートゾーンは、怖い。
自分がコンフォートゾーンにはまっているかどうかは、上述の「いや」「でも」「まだ」「他責」の罠に陥っていないかで、セルフチェックできよう。ついつい、そういう発言・思考になっていないか。
コンフォートゾーンにはまってしまっていると感じたら、意図的に何か外から「いつもと違う」刺激を与えて自分をはじき出さないと、ずっと快適な領域に留まってしまう。
大きく環境を変えるというのも一手だけど、コンフォートゾーンにどっぷりはまってしまっていると、そういうチャレンジ自体が難しい。
そういう時は、いきなり大きな無理をせず、普段着ないような服を着てみたり、普段食べないようなものを食べてみたり、普段行かないような場所に行ってみたり、そういう小さなことから、始めてみたい。
「いや、そんなことをしても何も変わらないでしょ」
という言葉をぐっとこらえて、まずは第一歩。
皆さんは、どう思いますか?

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