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  • Writer's pictureKenta Adachi

相手になりきる術

Updated: Mar 11

成果をあげている人に共通する項目はいくつかあると思うが、その中でも重要度が高いと思うのが「相手になりきる術」だ。ここでいう「相手」というのは、自分が起こすアクションを受ける相手側のことを指している。


例えば、営業。プロダクトやサービスを売り込みたい営業と、その売り込みを受けるお客様。


例えば、広報。プロダクトやサービスを宣伝したい広報と、その宣伝を受け取る視聴者。


例えば、採用。プロダクトやサービスをともに成長させてくれる人材を獲得したい採用側と、そのアピールを吟味する候補者。


様々なケースが考えられるが、いずれも、何かを起こそうとする「自分」と、それを受け取って判断・行動する「相手」が存在する。


こうした個々のケースの膨大な積み重ねが業績という名の結果に残されていく中において、各ケースで成果をあげていくために何が重要か?どうすれば相手が、自分にとって望ましい方向に向かってくれるか?その成否を分けるものが冒頭の「相手になりきる術」ではないだろうか。


「相手になりきる」というのは、そのアクションの受け手が、このアクションによってどう思うだろうか?どう行動するだろうか?ということを徹底的に想像しきることだ。


●●業界の課題を解決するために、■■というソリューションを提供しています、そのさらなる開発費が必要なため、出資してください!


例えばベンチャーキャピタリストとして、こういう資金調達の相談をスタートアップ・起業家からよくいただく。


こうした時に私がよくする質問の一つが「実際にあなた方が開発しているプロダクト・サービスを自分たちで使ってお客様と同じ課題に取り組んだことがありますか」である。


この質問で明らかにしたいのは「●●業界のお客様は日々、その課題を向き合うために多大な苦労をされている。そのため、様々なソリューションを調べ、活用しておられるだろう。そうしたお客様の実際の立場に立ってみて、果たして本当に自分たちが提供しようとしているものを使いたいと思うか、今のやり方からスイッチしてまで取り組みたいと思うのか、徹底的に掘り下げて考え、実感したことはあるか」ということだ。

カスタマージャーニー分析は最たる例であり、自分たちで本当に自社プロダクト・サービスを使っていないとしても、そこまでの想像に至っていればまずはいいと思う。ロジカルには正しくとも、エモーショナルには、あるいは商習慣ベースでは採択されにくいことは多々ある、ということを腹落ちしているだけでアクションが変わってくる。


経験上、こうしたところまで掘り下げることができているスタートアップ・起業家は少ない。その結果「思ったより自分たちのプロダクト・サービスが普及しないので、もっと機能開発したらいいはずだ、その開発資金さえ集まれば何とかなる」という発想に至り、その開発資金を得るために資金調達に動いてしまっているように見えることが少なくない。


このままでは、仮に開発資金を獲得できたとしても、同じ事業ステージをグルグル行ったり来たりして、先に進むことは難しいだろう。一番肝心な、お客様の気持ちになれていないのだから。


自分たちがやりたいことを一方的にやるのではなく、自分たちが言いたいことを一方的に言うのではなく、その受け手の立場に立って、果たしてこのアクションをとられたら相手がどう思うのか、どう行動するのか、そこを徹底的に考え抜く癖を身につけたい。


そのための訓練はシンプルで、相手に向かって自分がアクションを起こす前に一呼吸おいて、自分に問うてみることだ。


・自分がその提案や指示をされたら、どう思うだろうか?

・自分がその資料やメールを受け取ったら、どう思うだろうか?


こうして客観的に自分のアクションを見つめなおしてみることが第一歩になる。その上で、前回コラムでも取り上げた「人間理解」や、これはまた別のコラムで書こうと思っているが事実を事実として曇りなき眼でみる「観察力」が融合してくると「相手になりきる術」の精度がどんどんあがってくる。


皆さんは、どう思いますか?

IDATEN Ventures(イダテンベンチャーズ)について

フィジカル世界とデジタル世界の融合が進む昨今、フィジカル世界を実現させている「ものづくり」あるいは「ものはこび」の進化・変革・サステナビリティを支える技術やサービスに特化したスタートアップ投資を展開しているVCファンドです。


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