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  • Kenta Adachi

今までみた営業資料で最もよかった資料(サブスクリプションを例に)

Updated: Jul 30

この記事は、およそ2年前、2016年9月15日にAndy Rakinさんが書かれた記事の解説を試みたものです。


The Greatest Sales Deck I’ve Ever Seen

https://medium.com/the-mission/the-greatest-sales-deck-ive-ever-seen-4f4ef3391ba0


Andyさんが「今までみた営業資料で最もよかった資料」としてあげているのが、Zuora社の営業資料です。


Zuora社は「Zuoraはサブスクリプションへのビジネスモデル変革と収益向上の支援を行います」と自身のホームぺージでもうたっている通り、クライアントのビジネスをサブスクリプションビジネスへと変えるソリューションを提供している、サブスクリプション・イネイブラーです。

https://jp.zuora.com/


2年の前のため、今では適用しても古い考え方なのでは、と思うかもしれませんが、起業家/スタートアップから、「いったい、よい営業資料はどういうものか?」と聞かれることも多く、またこのAndyさんが書かれていることはいつの時代でも参考になる内容だと思い、今回の解説をしてみようと思ったのでした。


さてAndyさん、Zuora社の営業資料のどこを見て「今までみた営業資料で最もよかった」としているのでしょうか、早速、追っていってみましょう。


Andyさん、優れた営業資料は下記の5点を順番に抑えている、と言っています。


The 5 Elements of a Brilliant Sales Narrative

#1. Name a Big, Relevant Change in the World

#2. Show There’ll Be Winners and Losers

#3. Tease the Promised Land

#4. Introduce Features as “Magic Gifts” for Overcoming Obstacles to the Promised Land

#5. Present Evidence that You Can Make the Story Come True


日本語に意訳しますと、


見事なセールス・ストーリーを構成する5つの要素 #1. 売り込みたいものに関連する、世界の大きなトレンドを取り上げる #2. そのトレンドに乗った者、乗れなかった者の勝敗を示す #3. そのトレンドに乗れた場合、どんな素晴らしい結果が待っているかをチラ見せする #4. そのトレンドに乗るための、秘密の方法(=ここで売り込みたいもの)を紹介する #5. ここまで述べたことを実現することができる証拠を提示する



ここで言われているNarrativeとは直訳すれば物語といったような意味になりますが、営業にはストーリーが重要である、と説いています。

そして最後に、こう締めくくっています。


A Sales Narrative Works Best When Everyone Tells It


営業資料に書かれているストーリーを(営業マンがいない時でさえも)人々が語り始めると、その営業資料は最も効果を発揮している、ということです。


いわゆる口コミを引き起こす、そんな営業資料を目指すべし、というところでしょうか。


では、上記の5つのポイントを詳しく見ていきましょう。


#1. Name a Big, Relevant Change in the World


Andyさん曰く、もっともやってはいけないのは、いきなり商品やサービスや会社の説明から入ることです。その代わり、誰もが否定できないメガトレンド(もちろん、最終的に説明したい自社商品やサービスにつながるもの)を挙げましょう、と言っています。


例えばサブスクリプション・イネイブラーのZuora社の営業資料は、こんなスライドから始まっています。

確かに今、猫も杓子もサブスクリプション化しています。

デジタルコンテンツやサーバーといったオンライン上のものはもちろんのこと、リアル世界においても、自動車や服、フィットネスジムやラーメン店にいたるまで、さまざまなサブスクリプションが登場しています。


これは、誰も否定しようがないメガトレンドであり、聞き手に「うん、確かに」と思わせます。と同時に、そのメガトレンドがいったい自分にどんな影響を与えるのだろうか、と考えるきっかけを与えます。

Zuora社の資料では、ビジネスの成功要因が時代とともに変遷してきており、サブスクリプション化した世界では、今までになかった「関係性」に注目しなければなりません、と書かれています。


なお、Andyさんの記事には書かれていないことですが、心理学的に人間は一度もった自分の考えを通したい欲求があるそうです。一度、冒頭で「No」と入ってしまえば、その後もその冒頭の「No」の正しさを証明したいがあまり、マインドが「No」になってしまいがちです。こうなると、あとで覆すのは難儀です。逆に冒頭を「Yes」で入ることができれば、その先も「Yes」「Yes」と、試合運びがスムーズになります。そういった意味でも、まずは誰もが否定できないメガトレンドから入ることは、確かに重要だと思います。


ところでAndyさんは、こうも言っています。「よくプレゼン資料づくりで言われる『問題から入れ』という考え、あれは聞き手を防御態勢に入らせてしまうことがある」と。これも上記の「Yes」「No」マインドに通じる部分がありそうです。


さて、次のステップに進みます。


#2. Show There’ll Be Winners and Losers


ここでもまだ、自社の商品やサービスについて触れません。

先ほどあげたメガトレンドに乗れば勝者になり、乗ることができなければ敗者になる、という、これまた否定しがたいファクトを提示します。

ただ、先ほどあげたメガトレンドでの勝者・敗者はまだ色濃く出ていないケースがあるため、その場合は、過去の他メガトレンドから、参考になりそうな勝者・敗者比較を示すのもありでしょう。


例えばZuora社の営業資料では、こうなっています。

まず、FORTUNE 500というトップ企業でも、過去15年で半数以上がこの世から消えている、という衝撃的なファクトを示します。


その中で、生き乗っている勝者は、みなさんご存知のようにこんなことをしていますよね?というファクトを示します。


Unileverが、サブスクリプションビジネスを展開するDollar Shave Clubを買収したというファクト。


IBMが、ハードウェア企業からデータ企業(ビジネスモデルとしてはサブスクリプションモデル)へと変貌しているファクト。


こういった例をあげ、このメガトレンドの中で、UnileverやIBMのような勝者になるには?逆に、敗者にならないように気を付けるべきことは?と、聞き手に注意喚起します。

この段階で既に、聞き手の多くは「いや、もうサブスクリプションに本気で取り組まなければやばそうだ」という考えが芽生えていることと思います。


さて、次のステップに進みます。


#3. Tease the Promised Land


ここでもまだ、自社の商品やサービスを説明しません。はやる気持ちをグッとおさえ、もっと自社の商品やサービスの重要性を聞き手にしみ込ませるべく、さらに外堀を埋めに行きます。


そのために、メガトレンドをとらえ、勝ち馬に乗ることができたら、こんな素晴らしい世界が待っている、という「約束の地」なるものを示しましょう、と書かれています。


Zuora社の営業資料では、見事、サブスクリプション化に成功した暁には、こんないいことが待っていますよ、というスライドを示しています。

メガトレンドのBefore/Afterで、今までできなかったことができるようになっている、といったニュアンスで本スライドを主張していきます。


ここまで来ると、聞き手はもう自社事業のサブスクリプション化に取り掛かりたいか、あるいは少なくとも検討したい、と思っていることと思います。


さて、次のステップに進みます。


#4. Introduce Features as “Magic Gifts” for Overcoming Obstacles to the Promised Land


さて、ここでいよいよ、自社の商品あるいはサービスの説明に入ります。聞き手も話し手も、ここまでよく我慢しました。


メガトレンド、勝者と敗者、約束の地を示され、聞き手は「じゃあ、どうやったらその約束の地に行けるの?」と聞きたくて仕方がない状況になっていることでしょう。完全に、外堀は埋められています。


そこで、「約束の地に到達するために必要な魔法の杖が、当社のこの商品/サービスなのです」と、聞き手に胸にポッカリ空いた好奇心を、スッと埋めに行くのです。


Zuora社の営業資料では、このようになっています。

正直、この資料だけではどういった商品・サービスかが分からないのですが、どうやら、公開されているZuora社の営業資料では、ここまでしかAndyさんも開示できなかったようです。

本来なら、ここで詳しい商品・サービス説明や、必要に応じて他社商品・サービスとの比較、価格表や納期などを示していくことになるでしょう。


聞き手は、ここでいったん現実世界に引き戻され、とはいえ、本当にこれで約束の地に行けるのか?といった疑問も芽生えていることでしょう。


そこで、最後のステップに移ります。


#5. Present Evidence that You Can Make the Story Come True


ここでの目的は、聞き手に芽生えたであろう疑問を払しょくすることで、そのために、実際に自社の商品・サービスを魔法の杖として使って、約束の地に到達することができた既存クライアントの声や成功事例を示します。


例えば、こんな感じです。

場合によっては、まだ最初のクラインとや成功事例が出ていない時に営業資料を作成しなければならないこともあるでしょう。その場合でも、メディア取材や展示会での反響など、何らか、ここでの目的を果たすことができる内容を提示していくとよいでしょう。


これら5つの点をこの順番でおさえることで、営業マンがいなくても、「もう世の中、サブスクリプションの時代らしいよ、うちも何とかしないとね」といった会話が自然と生まれ(注:Andyさんが本記事を書いたのは、今からちょうど2年前のこと)、最も営業資料が効果を発揮する状況、つまり下記の状況になることでしょう。


A Sales Narrative Works Best When Everyone Tells It


その状況を加速させるためにも、最後に、いろいろな人が資料なしでも話しやすい、インパクトある内容で締めます。


なお、この内容は営業資料としてのみならず、資金調達や人材採用にも活用することができると思います。ぜひ、何かのお役に立てたら幸いです。


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